「かまどさん電気で炊くごはんの美味しさには、
和洋問わずに料理の幅を広げられる可能性を感じます。」
古くは、万葉集に朝廷へ食材を献上していた「御食国(ルビ:みけつくに)」と記され、食の宝庫として知られる、兵庫・淡路島。その南西に位置し、鳴門海峡を望み、2.5万㎡もの広大な自然に包まれながら、優雅なひと時を過ごせるのが、ホテルアナガです。国内外の賓客を多数迎えて31年、オーベルジュとして名高いホテルを支える副総支配人と、和とフレンチの両料理長にかまどさん電気で炊くごはんの魅力についてお伺いしました。
http://www.hotelanaga.com
お話を伺った方
副総支配人 鈴木大輔氏
日本料理 鮨「阿那賀」料理長 島田郎太氏
フランス料理「カドー・ドゥ・ラ・メール」料理長 島岡雄一氏
今ここでしか味わえないおいしさを体感していただける場に
鈴木副総支配人:
淡路島は日本遺産にも登録され、見所に溢れていますが、ただの観光地ではない「一流のローカル」であることが魅力です。
それは、どの季節に訪れても、その時々に、ここでしか味わえない食の豊かさや、手つかずの自然の美しさがあるから。
私どもは、本館には客室が38室と他に愛犬と宿泊できるコテージをご用意し、日常から離れゆったりとした空間でくつろいでいただく、「滞在型」のリゾートホテルです。
お客様はそれぞれどう過ごされたいかを感じ、また、ご要望に細やかな対応をさせていただきながら、まだ知られていない淡路島の極上の魅力をお伝えし、体感していただくのが私どものおもてなしの形です。
食もしかり。
レストランでは“地産地消”をモットーに、ほぼすべての食材をこだわりの淡路島産でご提供していますが、ここでしかできない食べ方や意外性もだいじ大切にしています。
例えば、春の桜鯛は非常に有名ですが、脂がのっていて本当においしいのは秋。旬の一瞬を逃さず、最良の調理法を施してご提供しています。
また、和食には鮨カウンターを設け、フレンチでは大鳴門橋などの絶景を堪能していただけるなど、ロケーションにもこだわりました。
淡路島ならではのこだわりの料理は、素材を提供する最良のタイミングと調理法、素晴らしいロケーション。最高の食の時間のために、どれも欠かすことができないものだと考えます。
ごはんは、料理のなかで一番大切にしています
島田料理長:
日本料理 鮨「阿那賀」では、夜の会席の締めに炊き込みごはんを土鍋ごと、朝は白ごはんをご提供しています。
同じ土地の米と水を合わせるのが一番おいしいもの。米も淡路島産のコシヒカリを選んでいます。
日本人にとってごはんは主食なのでおろそかにできません。会席でどんなにこだわり抜いた前菜、煮物や焼物などの料理を出しても、締めのごはんがまずかったら、すべてが台無しになる。なので、料理の中でごはんも大切な一品だと考えています。
このかまどさん電気で炊いて驚いたのは、十分な火力があって、米がひと粒ひと粒立ち、香りもよく、甘みもあり、直火で炊いた土鍋ごはんと遜色ないおいしさだということです。また、直火炊きだと鍋につきっきりなりますが、かまどさん電気に任せれば、私たち料理人と同じようにおいしく炊いてくれるので、その時間を他の仕事に当てられるし、コンロを占拠しなくて済むというのが何よりもありがたい。
それから演出の面でも、活躍しそうだなと。いつも夜の会席では、お客様の締めに一組ずつ土鍋でご提供します。そのお客様のためだけに土鍋で炊き、目の前でふたを開け、炊き立てを食べていただくと、特別感がやはり違うんですよ。
実際にかまどさん電気で炊き、何度かお客様に土鍋ごとお出ししましたが、とても喜んでいただきましたし、お客さんの締めに合わせてタイミングよく美味しいごはんを提供できるのは本当に良いですね。
かまどさん電気で、島の旬のおいしさを炊き込む
私たちがご提供したいのは、斬新だけれど、昔ながらの技法を用いながら、日本料理の枠から出そうで出ない絶妙な料理。
華やかで、色や香りなどから五感で季節を感じられる、島ならではの食材の組み合わせで作るひと皿をお出ししたい。
そのひとつが、島の旬の食材を使った炊き込みごはんです。今日は、淡路島産の甘みの強い玉ねぎとしらすの炊き込みごはんをかまどさん電気で炊いてみました。
炊き込みごはんの魅力は、おこげ。普通の電気炊飯器では茶色いだけでふやけたおこげしかできませんが、「おこげモード」があるかまどさん電気なら、パリッと直火炊きのようなおこげが作れるのは大変魅力です。
家電も道具、使いこなすことで料理の幅が広がる
ただ、家電といっても、道具は道具。料理人が求める微妙なさじ加減を表現するには、いかに使いこなすかが大事だと感じています。
米の種類によっても、その水分量などで炊き加減が全く違いますからね。
炊き込みごはんや鮨めしなど、かまどさん電気のどのモードで炊くと、どの用途に合うごはんになるのか、いろいろと研究中です。
使いこなせるようになったら、かなり料理の幅が広がりそうですね。
朝提供する白ごはんも、お客様の好みに合わせて「普通」「やわらかめ」「かため」など、炊き加減を変えてご提供するなど、演出面でも工夫できそうです。
たくさんの可能性を秘めているかまどさん電気、これからいろいろなごはんを炊くのが楽しみです。
洋食とも相性がよい、かまどさん電気で炊いたごはん
島岡雄一料理長:
フランス料理「カドー・ドゥ・ラ・メール」では、ランチとディナーの間の時間と、ルームサービスでご提供する、カレーのためにごはんをご用意しています。
カレー用のごはんは粒感が大切。カレールーの中でごはんがベタベタせず、舌の上に粒のハリを感じるのが、おいしい食感だと思うんです。
かまどさん電気で炊いたごはんは、普通の電気炊飯器で炊いたものよりもモチモチ感が歴然としていますね。
芯まで均等にやわらかく、プリッと粒がしっかり立ち、カレーによく合います。
フレンチの中でのかまどさん電気の可能性
フレンチのコース料理にも米は登場しますが、いわゆるアルデンテに炊き上げると、日本人にとっては硬い食感になります。
こちらでは地元の食材を使い、多くは日本のお客様にご提供しますし、お客様の年齢層の幅も広く、芯まで均一にやわらかい炊き具合なのに、粒立ちが良く存在感あるかまどさん電気のごはんを使うのは、メリットになると思います。
例えば、米をチキンブイヨン、バター、炒めた玉ねぎとにんじん、サフランで炊いたバターライス。これまで鍋に入れて、温度ムラがないようにオーブンで加熱して作っていたのを、かまどさん電気で炊いてみました。これが本当に美味しかったです。
かまどさん電気のバターライスは、メインの付け合わせにするリゾットにもよさそうですね。リゾットは普通、生のお米をブイヨンでアルデンテに炊いて仕上げます。
かまどさん電気で仕込んだバターライスは芯までやわらかく、粒立ちが良くなるので、そのバターライスを使ってリゾットを作ると、リゾットの「炊く」工程が短縮でき、早くおいしくできあがります。
今後試作してみて、パエリア的なものやトリュフご飯を作ってテーブルでサーブしてもいいかもしれません。
高級フランス料理は本来、多国籍の食材と調理法が融合した料理ですので、私たちらしいフレンチが表現でき、お客様が求めるものと合致すれば、土鍋も取り入れていきたいです。
文:秋山香織 写真:小出和弘